バザーに出した生地を買い戻してきた祖母…。今になって知る、その時の祖母の気持ち。

前記事:生地屋さんだった祖父のこと。没後10年目にして譲り受けた布たち。の続きです。

祖父の生地屋さんを手伝って苦労したらしい祖母ですが、生地そのものが好きだったようで、良くミシンを使っていました。小さい頃の私は、お手伝いしたい!とねだって、フットコントローラーを、祖母の相図に合わせて手で押させてもらったりしたものです…が、今から思うと迷惑だったろうな~(汗)。それでも快く手伝わせてくれたおかげで、私はミシンに対してとても親しみを感じていました。

祖母は、戦争の中で青春時代を過ごした世代ですが、「洋裁の学校に通いたかったのに、戦争で行けなかった。」と幾度となく話していました。さぞかし心残りだったのだろうと思います。それでも、洋裁の雑誌をいろいろ持っていて、洋服や、浴衣などを良く縫ってくれました。

前記事で書いたように、祖父が店を閉めた後、祖父母の暮らす家にたくさんの生地が運び込まれたのは、祖母の意向もあってのことなのではないかと想像しています。祖母はとても情の深い人で、物も大切にしていたので、処分するのが忍びなかったのでしょう。

祖父が店を閉めてからしばらくして、大学生だった私が、祖父母の家に遊びに行った時のことです。当時、私は着物にはまっていて、骨董市などで手頃な着物や帯を集めていました。そんな話を祖母にしたところ、「それじゃ、この生地を襦袢にしてみない?」と、見せられたのがこちらの布です。↓

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そして、その時聞いた祖母の話に、私はびっくりしてしまいました。祖母はこれらの布を、地域のバザーに出したのだそうです。そりゃあ、家に山のように生地があるのですから、それがまたどこかで役に立つなら賢明な判断だと思います。ところがバザー当日、この布が、一枚30円だか50円で売られているのを見て、祖母はそれを買い戻してきたというのです。

その話をしている時、普段温厚な祖母は、珍しく憤っていました。いい生地なのにわかっていない、バカバカしいから買い戻してきたの!と…。場所塞ぎだから処分しようと思ってバザーに出したのだろうに、お金を払ってまで買い戻してきた…ということに、当時の私は少なからず困惑しました。けれども、そこまで祖母が愛着を持っているならば、私がもらって帰ろうと思い、帰る途中で本屋さんに寄り、この本を買いました。↓

…無謀にも、本当に襦袢を仕立てようと思ったんです。実際、ピンク色の方を裁断しかけたのですが、用尺が微妙に足りず四苦八苦…。結局、縫い始めずに終わりました(汗)。その後、『着物の仕立て方』は、権助殿に浴衣を縫ったり、娘の着物を縫ったり(そのうち紹介したいと思います)した時に、結構活躍しましたが、肝心の祖母からもらった生地の方は、お蔵入りとなり、最近では娘たちのおままごとやお姫様ごっこ用の布になってしまっていました。(ピンクの方の生地端が、随分ほつれてしまっているのはそのせいです…)

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今になって知った、祖母の情愛。

けれども先日、祖父の残した生地を譲り受けたことで、祖母からもらったこれらの布のことも思い出し、久し振りに手に取ってみました。何ともレトロな柄だな~、娘たちの服にっていうのも、難しいなぁ…と眺めているうちに、ふと気になったことが。すぐに、私の小さい時のアルバムを引っ張り出してきて、見つけたのがこの写真です。↓

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かつて祖父が、幼かった私と母とに仕立ててくれたお揃い服です。その柄をよくよく見てみると…祖母からもらった生地(もう一度のせます↓)と、色違いだったんです!

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作ってもらったお揃い服の柄に似ているから、当時の流行だったのかも…というくらいの気持ちでアルバムを見返して、はじめて色違いということに気付きました。その瞬間、嫁と孫とにお揃い服を作った、祖父と祖母にとっては思い出深い、とっておきだったはずの生地をバザーに出さなければならなかった祖母の気持ち、それが数十円で売られていた時の気持ち、思わず買い戻してしまった気持ち…それらがどーっと押し寄せてきて、私はただただ圧倒されてしまいました。

いくら思い出深い生地だとはいえ、私が大学生くらいの頃には、既に当時の流行からはかなりズレていたこれらの布たち。正直、バザーの値付けとしては妥当な線なのではないか、数十円でも売れなかったのでは、と当時の私は密かに思ったものです。私が祖母の立場なら、その扱いに多少は気落ちしたとしても納得しただろうし、ましてや買い戻すなんてことはしなかったでしょう。

けど…損得勘定とか、現実的な判断に背を向けて、愛着を優先し、これらの生地を買い戻した愚かしいまでの祖母の情愛を、私は少しだけ羨ましく思います。私は到底、そういう境地には至っていないなぁ…。

そんな、祖母の思いの詰まったこれらの生地。改めて、娘たちと私の、二部式長襦袢にしてはどうかと考えています。二部式長襦袢なら、基本晒で作って、袖と裾のみ祖母の生地を使うことが出来るし。子ども服にするには少々難しい柄と素材(ポリエステル100%)ですが、襦袢にはぴったりだと思うんです。

幸い、娘たちは着物が大好きで、七五三のほか、お正月やイベントで良く着ています。

姉妹ブログ記事
【姉妹の七五三】母のお下がりを最大限活用!着物・帯・小物いろいろ。
【姉妹の七五三】長女3歳の祝い着。帯付き姿とお被布姿、両方で!

少し大きめに作って肩揚げなどをしておけば、サイズアウトせずに長く着られるのもポイント。そうやって、「なるべく長く着られる、とっておけるもの」に仕立てることで、私なりに、祖母の気持ちに応えることが出来たら、と思っています。

…とはいえ、着物類を縫うのはタイヘンなんだよなぁぁ~~(汗)。そのうち、このブログでも完成品を紹介できるように、頑張ろうと思います…。

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