大好きなバラ、ダマスク系オールドローズのマダム・アルディ。私がやたらと集めたバラの本の中で、たいてい「オールドローズの白花の中で最も美しいと言われています」等と書かれています。人の感性はそれぞれなので、「最も美しい」と言い切るのは難しいかも知れませんが、少なくとも私にとって、マダム・アルディは間違いなく、オールドローズ最高の白バラです。
まずは蕾。葉や棘の野性味に良く合う、造形美を感じる蕾です。この時点では、薄いピンク色。
ピンク色のまま、蕾が開きはじめて…
中心にピンク色を残しながらも、文字通り、美しく「ほころんで」きます。
そして、開花。まさに純白。(個人的に感じる)一番バランスの良い状態。中心にグリーンアイ、クォーターロゼット咲き。レモンのようなさわやかな香り。強く濃厚な香りでないことが、かえってこの花の魅力を際立たせている気がします。実は、オールドローズの白花はそれほど多くないので、その中で最高といっても…という感はあるのですが、オールドローズに限らずとも、他のバラにはないような、見る側を圧倒する魅力を持った白バラです。
複数輪が写っているこの画像では、開花にいろいろな段階があることがわかります。
全体像。今のところは自然樹形で枝が伸びるに任せていますが、つるバラとして誘引してもいいそうです。
何度も言っていますが、この自然な野性味と、そこに咲く花の気高さがたまらなくいい!!
小さい庭の限られたスペースに植物を植えるにあたり、私がいつも指針にしていることがあります。それは、「花品の上なるもの」か否か、ということです。
幸田露伴の娘で小説家の幸田文が、祖母(露伴の母)を回想した文章の中で、祖母が、当時珍しかった蘭の花をしばらくじっと見つめ、ひと言「花品の上なるものではない」と言った、という逸話が出てきます。私はこの話が大好きで、花を見るとき、「花品の上なるものかどうか」を意識して見ています。そうするとやっぱり、凛としている花、ちょっとだらしない感じがする花、花は可愛いのに葉が無粋、等々…いろいろあるような気がします。
そんな中、マダム・アルディは、力強く明るい葉、自然な樹形の中で可憐な蕾をもち、咲けば気品高く、潔く散る…と、すべてにおいて「花品の上なる」品種だと思います。
【バラ苗】 マダムアルディー オールドローズ ロマンチックで温かい名花です 新苗
幸田文の上記の話が載っている、「しつけ帖」。娘のしつけに参考になる…というよりは、私自身のしつけ直しが必要と思わされます(汗)。
幸田文しつけ帖
昨日は、ちょうど良く開いた一輪を、備前焼の花瓶に挿してみました。和風の花瓶でもなかなか絵になります。
ちなみに、私は上記の幸田文のお祖母さんの話を好むあまり、子どもが生まれる時、娘だったらこの人の名前を付けたいな、と思ったことがありました。ところが、肝心のお祖母さんの名前が「幸田猷(ゆう)」だっ
たため、権助殿に、
「イヌ(犬)っていうのが…つくのはちょっと…」
と難色を示され、それはそうかもと諦めたのでした…。